無機構造解析

目次

お知らせ

課題の提出と採点はGoogle Classroom上で行います。 クイズはGoogle Classroom上でのオンライン提出となります。以下のURLにア クセスしてGoogle Classroomに参加してください。

https://classroom.google.com/c/NjY2NjQzNzU4MDQ0?hl=ja&cjc=hmb56gh

クラスコードを使ってGoogle Classroomに参加することもできます。

クラスコード: hmb56gh

千葉大が発行するGoogleアカウントでのみ参加できます。個人で保有している google アカウントでは参加できないので注意してください。千葉大が発行す るGoogleアカウントをもっていない人は、Moodleにログインする等して確かめ てください。

概要

化学において重要な方法論の一つとして確立している構造対称性の考え方、X 線による構造解析の原理と応用について講義します。講義名は「無機構造解析」 ですが、群論や結晶学、回折理論は無機・有機分野に関わらず化学者が身につ けておくべき内容です。独学での習得はそれなりに時間がかかるので、卒業研 究や実務で必要になった時に困らないよう、この講義を通じて理解しておくこ とをおすすめします。教科書は必ずしも購入する必要はありませんが、図書館 等で参照した方が望ましいです。

「無機化学II」と「固体化学」を受講して理解していることが望ましいですが、 要件として特に求めていません。線形代数の知識を使いますが、講義中に復習 するので、線形代数の成績が悪くても問題ありません。

キーワード:

対称性、点群、結晶構造、X線回折、空間群、線形代数

関連科目

  • 1年: 線形代数、基礎化学A、無機化学I
  • 2年: 無機化学II、固体化学、コンピュータ処理
  • 3年: 錯体化学、有機構造解析

評価方法・基準

レポート0〜20%、期末テスト80%〜100%により評価を行います。全てのレポート提出を単位取得の必須条件とします。 試験時に不正行為があった場合は、単位取得を認めず、学則に基づき厳重に処分します。

講義内容

講義資料は学内からパスワードなしで、学外からはパスワードを入力してアク セスできます。学外からアクセスする場合、第1回目で知らせるパスワードが 必要になります。講義資料はGoogle Classroom上でも配布します。

化学と群論

点群による構造対称性の考え方を講義して、対称操作について講義します。点 群に基づいて、分子構造を整理したり、その性質を説明する方法を講義します。

学習目標

  1. 群の概念を理解し、集合が群になっているか確認できる。
  2. 分子式からVSEPRモデルで構造を予測して対称操作を調べ上げることができる。
  3. 対称操作を行列で表現することができる。
  4. 分子の点群を決めることができる。
  5. 指標表の仕組みを理解できる。
  6. 基底を決めて可約表現をつくり既約表現の線形結合を作れる。
  7. 分子の対称性から混成軌道を予測できる。
  8. 分子に基づいて、分子の振動特性を調べることができる。

参考教科書

2の参考教科書は、群論の説明が希薄で自力での理解は難しいと思われるので1の参考教科書を使って、その背景を講義します。

  1. 化学や物理のためのやさしい群論入門 1,2,3,4,5,6章 (4,5は線形代数の復習)
  2. シュライバー・アトキンス無機化学(上) 2章のVSEPRモデルと7章の分子の対称性解析入門

スケジュール

  • 01回 ガイダンス、VESPRモデル <2024-04-08 月>
  • 02回 群と対称操作(恒等と回転) <2024-04-15 月>
  • 03回 対称操作(鏡映、反転、回映)とC群 <2024-04-22 月>
  • 04回 D群、無限群、多面体群 <2024-04-30 火>
  • 05回 指標と表現、簡約 <2024-05-13 月>
  • 06回 化学と群論1 <2024-05-20 月>
  • 07回 化学と群論2 <2024-05-27 月>
  • 化学と群論の演習 (メディア講義)

X線構造解析と結晶学

結晶格子と並進対称性の考え方、表記法を講義してから、X線回折実験により どのように構造を調べることができるか講義します。平面波や逆格子の概念を 説明します。装置の仕組みや原理、実際の測定での注意事項等も講義します。

学習目標

  1. 7つのの結晶系と14のブラベ格子を格子の形と対称操作で分類して説明できる。
  2. 分率座標系と直交座標系、格子定数と格子ベクトルの変換を行える。
  3. 並進操作を行列で表現できる。
  4. 結晶面や結晶方位を表記できる。
  5. X線の発生原理と特徴を説明できる。
  6. X線回折実験の原理を説明できる。
  7. ブラッグの式を説明できる。
  8. 平面波の回折現象を説明できる。
  9. ラウエの式を説明できる。
  10. 逆格子、構造因子、原子散乱因子を説明できる。
  11. 簡単な構造の構造因子を計算できる。
  12. 空間群の対称操作を計算できる。

参考教科書

  1. シュライバー・アトキンス無機化学(上) 3章の固体の構造の記述, 6章の回折法 
  2. X線構造解析 −原子の配列を決める− 結晶構造とX線, 基本的な回折理論
  3. カリティ X線回折要論 1,2,3,4章

スケジュール

  • 08回 結晶構造とブラベ格子 <2024-06-10 月>
  • 09回 結晶座標と面、方位 <2024-06-17 月>
  • X線の発生と利用 (メディア講義)
  • 10回 Braggの法則 <2024-06-24 月>
  • 11回 回折理論と逆格子空間 <2024-07-01 月>
  • 12回 回折強度の計算 <2024-07-04 木>
  • 13回 空間群 <2024-07-08 月>
  • 14回 まとめと試験 <2024-07-22 月>

これまでの期末試験問題

成績評価のための期末試験は、持ち込みなしでの試験になります。

オフィスアワー

連絡なしで来てもらってかまいませんが、出張や多忙のため対応できない場合 があります。事前にメールで連絡してもらえると確実です。研究室は工学部1 号棟206です。不在の場合は研究室の学生に予定を聞いてください。メールア ドレスは、「ohkubo.takahiro@faculty.chiba-u.jp」です。

著者: 大窪 貴洋(千葉大学)

Created: 2024-06-17 月 09:01

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